くん炭ペレットと微生物から始める、持続可能な GX 農業
土を育て、作物を育て、環境価値を生み出す
農業において、作物の健全な生育を支えるためには、肥料や水だけではなく、その土台となる土壌環境を整えることが重要です。
土壌には、空気や水、養分だけでなく、植物の根や数多くの微生物が存在しています。そのため、これからの農業では、作物だけを見るのではなく、「土壌の物理性・化学性・生物性」を総合的に考える土づくりが重要になっています。
私たちは、もみ殻などの植物由来資源を活用したくん炭ペレットと、土壌中で働く微生物資材を組み合わせることで、土壌環境を整えながら、持続可能な農業につなげる取り組みを進めています。
これは、単なる土壌改良にとどまらず、資源循環、炭素貯留、GX 農業、さらには将来的なカーボンクレジットなどの環境価値にもつながる取り組みです。
くん炭ペレットとは
くん炭ペレットとは、もみ殻などの植物由来バイオマスを炭化してつくられた「くん炭」を、農業で扱いやすいペレット状に加工した土壌改良資材です。くん炭は、もみ殻を酸素の少ない状態で加熱・炭化することでつくられます。もみ殻をそのまま利用するのではなく、炭化することで、独特の多孔質構造を持つ炭素材となります。この多孔質構造は、土壌中の水分や空気の動き、微生物が生息する環境などと関係します。
くん炭をペレット化することで、粉状のくん炭に比べて取り扱いやすくなり、圃場への散布や施用がしやすくなります。
くん炭ペレットが土壌環境に与える役割
土壌は大きく、物理性・化学性・生物性という 3 つの視点から捉えることができます。
物理性を整える
土壌の中には、植物の根が伸びるための空間が必要です。
通気性や排水性、水分保持などの土壌環境が適切に保たれることは、根が成長する環境を考えるうえで重要です。
くん炭が持つ多孔質構造を活用することで、土壌の物理的な環境を整えることをサポートします。
化学性を考える
土壌中には、植物の生育に必要なさまざまな養分が存在します。
くん炭は、その特性から土壌中の水分や養分の保持環境に関わる資材として利用されています。
ただし、土壌の種類や pH、養分状態によって作用は異なるため、土壌分析などを踏まえて使用することが重要です。
生物性を整える
土壌には多種多様な微生物が生息しています。
有機物の分解などに関わる微生物や、植物の根の周辺で活動する微生物など、土壌中の微生物は農地の生態系を構成する重要な存在です。
くん炭の多孔質構造は、こうした微生物が生息する環境の一部となることが期待されています。
くん炭ペレットと微生物資材の組み合わせ
私たちが注目しているのが、くん炭ペレットと微生物資材を組み合わせた土づくりです。くん炭ペレットと微生物資材は、同じものではありません。それぞれに異なる役割があります。
くん炭ペレット
土壌の物理的・化学的・生物的な環境を整えるための土台づくり。
微生物資材
目的に応じた微生物を活用し、土壌中の微生物環境を整えるためのアプローチ。
この 2 つを組み合わせることで、「微生物を入れる」だけではなく、「微生物が活動する土壌環境を整える」という考え方で土づくりを行うことができます。
土壌微生物が支える農業
植物の根の周辺には、さまざまな微生物が存在します。微生物は、土壌中の有機物の分解や物質循環など、農地の生態系に関わっています。
そのため、土壌を単なる「植物を植える場所」と考えるのではなく、植物・土壌・微生物が関わり合う環境として捉えることが重要です。
微生物資材を活用する場合も、使用する菌種によって特徴や働きが異なります。例えば、バチルス属などの微生物を利用した資材や、特定の病原菌との拮抗作用を利用する微生物資材などがあります。
ただし、微生物の働きは、菌種だけで決まるものではありません。土壌の温度、水分、pH、有機物、作物、施用方法など、さまざまな環境条件によって変化します。だからこそ、微生物資材だけに頼るのではなく、微生物が活動できる土壌環境そのものを整えることが重要だと考えています。
くん炭ペレットで目指す「生きた土づくり」
良い土とは、単に養分が多い土ではありません。植物の根が伸びるための空間があり、水分と空気が適切に存在し、必要な養分が保持され、さまざまな微生物が活動できる環境が整っていることが重要です。
くん炭ペレットは、そのような土壌環境をつくるための一つの選択肢です。土壌改良資材としてくん炭ペレットを活用し、必要に応じて微生物資材や有機質資材などを組み合わせる。それぞれの資材の特性を活かしながら、圃場ごとの土壌条件に合わせた土づくりを行うことが、持続的な農業につながると考えています。
農業資源を循環させる「バイオマス活用」
くん炭ペレットのもう一つの特徴は、植物由来のバイオマスを農業資源として活用できることです。
米の生産過程では、もみ殻などの副産物が発生します。これらのバイオマスを炭化し、農地へ戻すことで、農業から生まれた資源を再び農業へ循環させる取り組みにつなげることができます。これは、「つくる → 使う → 捨てる」という一方向の流れではなく、「つくる → 活用する → 土へ戻す → 次の生産につなげる」という資源循環型農業の考え方です。
地域で発生するバイオマスを地域の農業へ戻すことができれば、資源の有効利用という観点からも価値があります。
くん炭ペレットとバイオ炭
「くん炭」と「バイオ炭」は、関連する言葉ですが、完全に同じ意味ではありません。バイオ炭は、木材やもみ殻などのバイオマスを原料として炭化し、農地などに施用する炭化物を指す概念です。一方、くん炭は、一般的にもみ殻などを炭化してつくられる農業資材を指します。さらに、くん炭をペレット状に加工したものがくん炭ペレットです。
そのため、
バイオ炭=炭化物を農地などに利用する大きな概念
くん炭=もみ殻などを炭化した資材
くん炭ペレット=くん炭をペレット状に加工した農業資材
と整理すると、それぞれの違いを理解しやすくなります。なお、カーボンクレジット制度などにおいて対象となる「バイオ炭」は、制度ごとに原料、製造方法、品質、施用方法などの要件が定められている場合があります。
くん炭ペレットから始める GX 農業
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、温室効果ガスの排出削減と経済・社会活動の両立を目指し、産業や社会の仕組みを変えていく考え方です。農業においても、環境負荷を減らすだけではなく、農業生産と環境価値を両立させることが重要になります。
くん炭ペレットは、GX 農業を実現するための一つのアプローチとして考えることができます。もみ殻などのバイオマスを炭化して農地へ施用することで、資源循環と土壌改良に加え、炭素を土壌へ貯留する取り組みにつながる可能性があります。つまり、土壌改良+微生物を活用した土づくり+バイオマス資源の循環+炭素貯留を一つの農業活動の中で考えることができます。
これが、私たちが考える「土から始める GX 農業」です。
バイオ炭による炭素貯留と CDR
植物は光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込み、炭素を植物体に蓄えます。その植物由来のバイオマスを炭化すると、炭素を含む炭化物になります。これを土壌へ施用することで、植物が取り込んだ炭素の一部を土壌中に貯留することができます。
このように、大気中の二酸化炭素を除去・回収し、長期的に貯留する考え方は、CDR(Carbon Dioxide Removal:二酸化炭素除去)と呼ばれます。農地へのバイオ炭施用は、農業分野における CDR の一つの方法として注目されています。ただし、炭素がどの程度貯留されるかは、原料、炭化条件、炭化物の性質、施用量、施用方法などによって異なります。そのため、環境価値として評価するためには、単純に「炭を入れた量」だけを見るのではなく、原料から製造、運搬、施用までの情報を適切に記録・管理することが重要です。
カーボンクレジット・国際クレジットへの可能性
農業における炭素貯留を、環境価値として社会へ届ける仕組みの一つがカーボンクレジットです。カーボンクレジットは、温室効果ガスの削減・吸収などによって生み出された環境価値を、一定の基準に基づいて認証・取引する仕組みです。バイオ炭による炭素貯留についても、国内外でさまざまな制度や方法論が検討・活用されています。また、国際的な取り組みとしては、JCM(Joint Crediting Mechanism:二国間クレジット制度)など、国と国との協力によって温室効果ガスの削減・吸収を進める仕組みがあります。
くん炭ペレットの製造・活用を、国内の農業だけでなく、海外のバイオマス資源や農業生産ともつなげることで、将来的には国際的な環境価値の創出につながる可能性があります。例えば、バイオマス資源の活用→くん炭・くん炭ペレットの製造→農地への施用→土壌環境の改善→炭素の土壌貯留→環境価値の可視化→カーボンクレジット・国際的な脱炭素事業への展開という循環を目指すことができます。ただし、カーボンクレジットの創出・取得には、それぞれの制度や方法論に定められた要件を満たす必要があります。くん炭ペレットを使用したことだけを理由に、クレジットが自動的に発行されるものではありません。
「環境に良い」だけでは終わらせない GX 農業
持続可能な農業を実現するためには、「環境に良い」という言葉だけでは不十分です。農業者にとって重要なのは、
・作物が健全に育つこと
・安定した生産につながること
・土壌を長期的に維持できること
・資材を継続的に利用できること
・新たな環境価値につながること
です。だからこそ、私たちは「環境のための農業」ではなく、農業そのものが環境価値を生み出す仕組みを目指しています。
土壌環境を整えること。
微生物の働きを活かすこと。
バイオマスを循環させること。
炭素を土壌へ戻すこと。
そして、そこで生まれた環境価値を適切に可視化すること。
これらをつなげることで、農業者、生産者、企業、地域社会、そして地球環境にとって価値のある GX 農業を実現していきます。
くん炭ペレットが生み出す 3 つの価値
01 健康な土壌を育てる
くん炭ペレットの多孔質構造を活かし、土壌の通気性、排水性、水分環境などを整える土づくりをサポートします。
02 健康な作物を育てる
土壌環境を整え、根が成長しやすい環境づくりを支えます。さらに、微生物資材などと組み合わせることで、植物と微生物が関わる土壌環境づくりを目指します。
03 健康な地球を育てる
もみ殻などのバイオマス資源を農業へ循環させ、炭素を土壌へ貯留することで、資源循環や脱炭素につながる環境価値の創出を目指します。
実際の農業現場での活用
くん炭ペレットは、さまざまな作物や農業現場での土づくりに活用することができます。
例えば、水稲・トマト・ねぎ・唐辛子・野菜類・施設園芸・畑作・果樹など、作物や栽培方法に応じて、土壌条件を確認しながら使用方法を検討します。
重要なのは、「すべての圃場に同じ量を入れる」という考え方ではありません。土壌の種類、pH、水分状態、有機物量、作物、栽培方法などを考慮し、圃場ごとに適切な施用方法を検討することが重要です。
持続可能な農業を、土から。
農業の未来を考えるとき、私たちは「何を作るか」だけではなく、「どのような土を次の世代へ残すか」を考える必要があります。
くん炭ペレットは、土壌改良資材という一つの製品にとどまりません。土壌環境・微生物・バイオマス資源・資源循環・炭素貯留・GX 農業・CDR・カーボンクレジット・国際的な脱炭素への取り組み。これらをつなぐことによって、農業が持つ新たな価値を生み出すことができます。
私たちは、
「健康な土壌を育てる」
「健康な作物を育てる」
「健康な地球を育てる」
という 3 つの価値を大切にし、土づくりから始まる持続可能な農業、そして未来の GX 農業を支えていきます。
よくある質問
- くん炭ペレットは何に使う資材ですか?
- 主に農地や園芸などで、土壌環境を整えるための土壌改良資材として使用します。
- くん炭とくん炭ペレットの違いは何ですか?
- くん炭は、もみ殻などを炭化したものです。くん炭ペレットは、それをペレット状に加工したもので、農業現場での取り扱いや施用をしやすくした形態です。
- くん炭ペレットはバイオ炭ですか?
- くん炭ペレットは、植物由来のバイオマスを炭化した資材ですが、制度上の「バイオ炭」に該当するかどうかは、原料、製造方法、品質、用途、制度上の要件などを確認する必要があります。
- 微生物資材と一緒に使うメリットは何ですか?
- くん炭ペレットによって土壌環境を整えながら、微生物資材を活用することで、微生物が活動する環境づくりを目指せる点です。ただし、微生物の種類や土壌条件によって適切な使用方法は異なります。
- くん炭ペレットは肥料ですか?
- 一般的には肥料ではなく、土壌環境を整えるための土壌改良資材として扱われます。製品の分類や使用方法については、各製品の表示・規格をご確認ください。
- くん炭ペレットを使うと二酸化炭素削減になりますか?
- バイオマスを炭化し、炭素を土壌へ貯留することは、炭素除去・炭素貯留につながる可能性があります。ただし、温室効果ガス削減量は原料、製造工程、輸送、施用などを含めて評価する必要があります。
- カーボンクレジットを取得できますか?
- 使用しただけで自動的にカーボンクレジットが発行されるわけではありません。対象となる制度や方法論に基づき、必要なデータの記録、算定、認証・検証などの要件を満たす必要があります。
- GX 農業とは何ですか?
- GX 農業とは、農業生産を維持・発展させながら、温室効果ガスの排出削減、資源循環、炭素貯留などを進め、農業と環境価値の両立を目指す取り組みの一つとして捉えることができます。
私たちが目指す未来
土づくりから、農業の未来を変える。
くん炭ペレット、微生物、バイオマス、炭素貯留。
一つひとつの技術を単独で考えるのではなく、それぞれの特性を組み合わせることで、農業が生み出す価値をより大きくしていく。
私たちは、農業者とともに土壌環境を考え、資源を循環させ、環境価値を可視化し、国内外の GX・脱炭素の取り組みへつなげていきます。